女神のささやかな願い / Merciful Goddesses of Retaliation その5

タカナさんの漢字は、高菜、多加奈あたりかな。あんまり意味なし。

タカナは、また別の質問をした。
「人がここに参拝に来るということは神の加護を求めているということなのでしょうか?」
「神は人に力を直接貸すことはありません」
と、タマキはきっぱりと言い、
「参拝に来た方々にはちゃんとお伝えしていますよ」と続けた。
そして、掲示板のほうを指さした。そこには、


「叶えたい願いがあるなら、自分で努力しろ」


と大きく太い字で書いてあった。なかなかの達筆である。タカナは思わず声に出して笑ってしまった。
「あれは、タマキさんが書いたんですか?」と、尋ねた。
「いいえ、違いますよ。書道家の人にお願いしたのです。なかなか力強い筆致で私のお気に入りなのです」


タカナは、その文面を口に出して言ってみた。そして考える。「何故この神社で祀られている神が信仰を集めているのか」がタカナは気になった。タカナはタマキに続けて尋ねた。


「では、その加護って具体的にはどんなものなのですか?」
タマキは、ちょっと困った顔をして、「私も具体的にはよくわからないのです」と言い、
「強いて言うならば精神的な支えを与えると言えるでしょうか。私の感覚だと、『決意の承認』のようなものではないかと思います」と続けた。
「タカナさんが、どれくらいここの仕組みをご存じであるか知りませんけど」と言い、
「私の口から、簡単に説明いたしますね」と、にっこり笑った。

(続く)