ネーミング

ちょっとばかばかしい感じで。

先輩:こっちのAD変換の装置がみやこちゃん、こっちのハイパスフィルタ及びアンプがふみちゃん、高真空維持装置のえりちゃん、・・・。
後輩:自作実験装置に何で女性の名前をつけてるんですか。
先輩:台風の名前に女性の名前を使うようなものだよ。
後輩:それ説明になっていませんよ。というか、今はそういう時代じゃないですよね。
先輩:いいじゃないか。愛着がわくでしょ。私の友達なんて、自作プログラムに寄生虫の名前つけてたよ。カイチュウとかフィラリアとかエキノコックスとか・・・。
後輩:敢えて、そんな名前を使いますか。
先輩:男のロマンが分からないかな。
後輩:いや、私、女だし。
先輩:やれやれ。それだから、女は困るよね。
後輩:というか、先輩も一応生物学上は女でしょ。
先輩:何だよ、その「一応」とか「生物学上」とか言うのは。
後輩:女性のくせに、男のロマンとか分けのわからないことを言い出したのは先輩ですよ。
先輩:私は男女同権主義者だからね。
後輩:ちなみに、私は女権拡張論者です。
先輩:うーん、それじゃ、可憐な乙女として。
後輩:自分で可憐とかいって恥ずかしくありませんか?
先輩:ちーとも。
後輩:それに、25歳越えても乙女とかのたまいますか。
先輩:気持ちの問題でしょう、そういう言葉は。駄目って言うなら、30歳越えの女子として。
後輩:女子ときましたか。
先輩:女の子と自称するのは、少々抵抗があるからな。
後輩:少々ですか。まあいいですけど。科学の世界では、本来の語源や通常の意味とは異なった形で、言葉を再定義することはよくありますね。
先輩:さすがに現役の乙女研究者は言うことが違うな。
後輩:それ皮肉ですか。
先輩:「女の子じゃないもん、研究者だもん!」(仕草:思いっきり可愛らしく!)
後輩:(内心:何かのパロデイかな?) 脈絡がさっぱりです。
先輩:自分で合成した実験試料に、けろすけとかりんりんとか名前をつけるのはどうなのよ。必然性も、統一性も皆無じゃないか。
後輩:実験試料は合成や作製するんじゃなくて育成するんですよ。育ててあげるんです。よい子に育つためには原材料のクオリティも大事だけど、環境も大事なんですよ〜。
先輩:君は貧乏だから、トリプルナイン(99.9パーセントの純度)の試料すら買えないよね。
後輩:赤貧研究者を救うための募金活動でもしようかしら。
先輩:金がないときは時間を使って、時間がないときは頭を使ってやりくりするもんだよ。
後輩:現実は厳しいな。(表情:うれしそうに)それはともかく、けろすけ、りんりん、ロブ、ミッシェル、タムールは五人姉妹なんですよ〜。
先輩:なんか女性っぽい名前はあんまりない気がするけど。
後輩:そうそう、すごいんですよ。前、りんりんに格子欠陥を増やしたら発光現象が観測されて・・・。
先輩:・・・(内心:聞いちゃいえねー)
(以下、無意味な会話が続く)