博士漂流時代 「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)
- 作者: 榎木英介
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2010/11/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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書評と言うより感想。感想と言うより、インプレッションの羅列。
「第2章 博士はこうして余った」を読んで思ったこと。
p.84
1993年から2000年までの9年間に大学院生の数が倍以上になったことは間違いないのだが、
- 急すぎる。アカデミック内部でそんなに多くの学生を捌ききれるの?って言う問題もあるし、社会との接続もほとんど考えていないような感じがする。
- 歴史的な経緯についてまとまったものを読んだことがなかったのでとても楽しめる。いや、なんか楽しんでいてはいかんのかもしれんが。
- 1970年代も博士は余っていたのか。
p.90
OD問題は1980年代前半には3500人を超え、
- ODはオーバー・ドクターという和製英語。
- 今よりは規模は小さかったんだよな。今のは、昔より規模が大きいのが問題かも。というか、昔の事を反省しないで、政策を決めてしまった人達も問題だよな。
- p.95 80年代後半に、「バブル」と「第2次ベビー・ブーム世代の大学入学」でOD問題が解消したのか。
p.101-102 大学院重点化について。
東大では、今までは学部所属だった教員を、大学院所属に移すことにした。教員1人あたりの学生定員が大学院の教員の方が多いので、人数に見合ったお金が入るからだ。
そして、助手より教授、助教授のほうが、国から研究成果にかかわらずもらえるお金である基盤校費の額が大きいため、助手の定員が減らされ、助教授や教授が増やされた。これにより、基盤校費の増加と大学院生の増加を同時に達成することができた。これは「アップシフト」と呼ばれた。
- そういうカラクリですか。かくして、頭でっかちの組織になったのか。断片的には知っていたけど・・・。
- p.102からポスドク1万人計画の話題がでてくる。わくわく。(←わくわくしていていいのか?)
- 1996年に出てきたわけね。2000年に1万人を突破したのか。今は18000人くらいいるらしい。
p.107 余ると予想された、博士課程の定員を減らせなかった理由などが書いてある。
一度増やした定員を減らすことが認められていなかったのは大きい。
また、文部科学省は「定員充足率」つまり、定員に見合う入学者がいることを評価の対象としてきた。定員が減れば、国から大学に入る予算が減らされると言った罰も使いながら。大学教員も、博士の就職難を知っていながら、利用したのだ。利用せざるを得なかったのかもしれない。
- 難しい問題だな。なんというか、後先考えずに、どんぶり勘定だったんじゃないのかな。
p.110
あるシンポジウムの場で、同席した著名な大学教授が、最近の大学院生はレベルが低いという発言をしたとき、思わず反論してしまった。「あなたたちに責任はないんですか?」と。
自分達がトレーニングした博士が、社会の中で低い評価を得ていることに、どうして憤らないのか。博士を売り込まないのか。博士の声を代弁しないのか。能力が低いというのなら、高めようとしないのか。博士と話し合わないのか。もう大学院博士課程は、科学者になる人だけを養成する機関じゃない。むしろ社会に出る方が多数派だ。なのに大学関係者の意識は変わっていない。
- 熱い! 確かにそうかも。全部が全部そういう先生じゃないけど、意識の低い先生はいるかも。平均的には、そうかもって思ってしまう。
- p.113 持参金500万円の話。うまくいっていなかったんですね。
- とってもまとまっていて良いです。でも、なんか、1章、2章と明るい話がないなあ。