「可解な場の理論による摂動論を用いたS=1反強磁性スピン鎖における多マグノン過程の解析」(古谷峻介)

http://statphys-ml.phys.titech.ac.jp/2012/11/statphys02952.html

http://cmt.spring8.or.jp/seminar/seminar-20121115.shtml

日時: 平成24年11月15日(木) 16:00〜17:00
場所: SPring-8, 萌光館
題名: 可解な場の理論による摂動論を用いたS=1反強磁性スピン鎖における多マグノン過程の解析
講演者: 古谷峻介 氏 (ジュネーブ大)
Abstract:

一次元量子スピン系では場の理論による研究が活発に行われており、特に可解な場の理論による非摂動的な解析は多大な成果を残してきた。 しかし可解性は当然ながら非常に特殊な性質であるため、実験的に実現可能な系の多くは可解性を破る。 可解性を破る相互作用が弱い場合には、可解な場の理論のまわりの摂動展開が可能である。 この摂動論は、単純な自由場の理論を出発点にとる摂動論と異なり、最低次の展開項において既に相互作用が非摂動的に取り込まれている。 このようなアプローチは、その有用性にもかかわらず、これまで量子スピン系においてあまり活用されていなかった。

本講演の前半ではO(3)非線形シグマ模型のまわりの摂動論を導入し、それを用いてS=1反強磁性スピン鎖の励起ギャップの計算を行い、数値的に検証する[1,2]。 後半では、前半で議論した摂動論を用いて、S=1反強磁性スピン鎖における電子スピン共鳴とラマン散乱の共鳴吸収スペクトルを導出・検討する。 これらの共鳴吸収は、複数のマグノンを同時に励起する過程が関わり、有限のエネルギースケールの有効理論が必要となり、通常の場の理論では解析が困難であるが、この困難が無摂動項の可解性によって克服されることを議論する。

メモ。