昔書いたネタ。一部修正。2013年4月30日現在書きかけです。
以下、四角の線で囲ってあるところは昔書いたところ。
ある知識を得るためには、どこを調べれば良いのか?を知っているのは大きな力です。現在はネットでいろいろなことが調べられるようになりたいへん便利になりました。Wikipediaなどを積極的に利用するのも良いと思います。とはいうものの、体系的な知識を得るさいには本は今でも有用なメディアです。以下では比較的研究活動で有用そうな書籍を紹介します。
体系的って大事ですね。
「物理の基礎・固体物理の基礎・辞典・論文の書き方」
物理の基礎が不安な人向け(「問題が解ける」ではなくて考え方を学ぶ)
論文の書き方
- 酒井聡樹『これから論文を書く若者のために 大改訂増補版』
- 日本物理学会編『科学英語論文のすべて 第2版』
太田浩一『電磁気学の基礎 I』『電磁気学の基礎 II』とかもあげたいかな。
結晶学&配位子場
- F.S.ガラッソー『ファインセラミックスの結晶化学』 ペロブスカイト、スピネル、パイロクロアとかそういう言葉が気になる人向け。
- 今野豊彦『物質の対称性と群論』とても丁寧に結晶学、群論、配位子場などについて扱ってある。
- 上村洸、菅野暁、田辺行人『配位子場理論とその応用』(裳華房) 結晶場・配位子場などを具体的に考える必要が出てきた場合は必読。1~3章あたりを読める能力は欲しい。
『磁性体の統計理論』を統計力学の項で紹介するのはどうなんだろうか・・・。
磁性
- Stephen Blundell 『Magnetism in Condensed Matter』(Oxford)良い本。Exerciseの中にかなり重要な例題が入っている(逆に言えば、 Exerciseをやらないと、ただのお話だけになりがち)。Further readingなども結構便利。
- 金森順次郎『磁性』(培風館) 量子力学と統計力学の理解があることが磁性の理解に必要だとわかる。
- 安達健五『化合物磁性 局在スピン系』(裳華房)磁性研究の上で、必要なことがいろいろ書いてあって便利。図や表、参考書に関する記述も豊富。
- 芳田圭『磁性』(朝倉書店)絵が少ないし、記述も難しめ。でも、一次元反強磁性体をやる人は必要そうな所に目を通しておくべき。
- 久保健,田中秀数『磁性 I』比較的新しい本。量子スピンやフラストレーションに関して新しめの文献が載っている。
- 望月和子, 鈴木直『固体の電子状態と磁性』Erの結晶場計算などが載っている。
- 夏目雄平、小川建吾、鈴木敏彦『計算物理III 数値磁性体物性入門』 量子スピン系、低次元系の話もちらほら。量子モンテカルロ法、密度行列繰り込み群などの用語がでてきて困ったら、この本を読む。
- 伊達宗行『極限科学ー強磁場の世界』 強磁場の本。磁性体に関する記述もけっこうある。
- 本河光博『強い磁場をつくる』読み物。読んでおくと、一般受けする話ができる(かも)。
- 高山一『スピングラス』必要な人が読めば良い。フラストレーション系の人は関係あるかも。
- 宮下精二『量子スピン系―不確定性原理と秩序』量子スピン系の最近の話題に関して。
- 勝又紘一、田崎晴明『Haldane Gap - スピン系におけるマクロな量子現象』
他にも新しい本が出てますね。思いついたら追加する。
磁気共鳴・ESR
- 伊達宗行『電子スピン共鳴』(培風館)これだけ持っていればなんとかなる。必携。でも品切れ。
- 大矢博昭・山内淳『電子スピン共鳴 素材のミクロキャラクタリゼーション』 読みやすい。標準的な教科書。
- 山内淳『磁気共鳴−ESR −電子スピンの分光学−』読みやすい本。値段も手頃なので、入門には最適だと思う。
- 電子スピンサイエンス学会 監修『電子スピンサイエンス&スピンテクノロジー入門』たぶん絶版。2〜4章と、5章の多周波ESR、強磁場ESRは参考になる。
- A. Abragam and B. Bleaney『Electron Paramagnetic Resonance of Transition Ions』存在は知っておきましょう。
- Charles P. Poole Jr. 『Electron Spin Resonance: A Comprehensive Treatise on Experimental Techniques/Second Edition』ESRの基本的なことがだいたい載っている(らしい)
『電子スピンサイエンス&スピンテクノロジー入門』は新しいのが出ているかもです。
他にもありますけどあんまり多く取り上げすぎるのもなんなので。
緩和じゃなくて、閑話。
知らなくても仕方がないことを、「何でそんな常識を知らないの?」って蔑んだり怒ったりする人がいるんですよね。まあ、「常識だろ」って思ったとしても、「とりあえずこの論文・本で勉強したら」って当初は優しく言ってあげるのも良いかと。
でも、教育スタイルはいろいろですからね。ガツンと言って欲しいって人もいるだろうし。ケースバイケースだとは思いますけど。
教員は参考になる本をいくつか紹介してくれるのが普通です。複数教えてもらったとして、全部手元に集めるのはちょっと面倒でしょう。そして、それを全部読むのは大変かもしれない。そして、「それぞれの本のどこを重点的に読まなくちゃいけないか?」までは教えてくれません。というか、そこまですると逆に教育的じゃないかもしれないですし。
(学生が「この本の中でどこが大事ですか?」って聞くのは良いと思う。で、答えてくれるかは、また別の問題)。