平成24年度科学研究費助成事業第1段審査(書面審査)の手引(平成23年12月 独立行政法人日本学術振興会)

http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/03_shinsa/data/h24/tebiki_dai1.pdf


7ページの「(3)応募研究課題の短所部分についての審査意見の例」が面白いので転載。こういう意見を書かれないように頑張らなくちゃ。

○○についての○○を蒐集して、○○を図るという、いわば、○○にありがちな、何かデータを集めれば分かることがあるという発想の本課題は、学術的重要性を認められず、課題として妥当でない。また、研究計画および研究手法において問題があり、妥当性を欠く。加えて、課題の独創性と革新性において見るべきものがない。この結果、研究課題の波及効果は期待できず、普遍的なインパクトはない。なお、本申請者の研究遂行能力は不足で、基礎研究環境も劣る。研究成果の発信も不足する。さらに、研究費の使用も、研究代表者ではなく分担者に○○装置を購入させることが目的であるように見受けられ、代表者の主体性が感じられない。従って、結論として本研究課題は問題が多く、採択には慎重であるべきである。

本研究課題の趣旨はよく理解できるが、不明な点も少なくない。例えば、これまで適切な検証方法がなかったために、具体的にどのような問題が生じ、○○を阻害してきたのか。また、汎用性・実用性を備えた検証方法を開発すると言うが、世界中の研究者が現に行っている研究と、本研究課題が開発するという検証方法の間には、実際のところどのような関係が成立するのか。汎用性・実用性を目指すのであれば、検討すべき○○は膨大なものとなるはずである。どのような基準に基づいて研究の範囲を決め、それは具体的にどのような現象を含むことになるのか。こうした点について具体的な記述がないため、本研究課題の成果および波及効果について積極的に評価するのは困難である。

本研究課題では、実用的な○○を目的として、○○の開発を目指す。ここで、具体的な対象として、○○を挙げている。しかし、個々の対象に関する学術的な問題点の掘り下げが行われておらず、○○として、何を意図したものか理解することが出来ない。○○についても○○らの方法を参考するということで、申請者らのオリジナリティーが見えてこない。研究計画・方法についても不十分である。より具体的かつ詳細な記述が必要である。


誰か一人の意地悪な審査員がこういう事を書く可能性もある。でも、全員にこんなふうに書かれたら、その申請書は駄目な申請書だよね。

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p.15 「基盤研究(A・B・C)(審査区分「一般」)、若手研究(A・B)の第1段審査における評定基準等」

第1段審査においては、各研究課題について、以下の研究内容、研究計画等に関する個別の評定要素に関する絶対評価を行った上で、最終的に、5段階による総合評点を相対的な評価に基づいて付すこととします。

なお、各評定要素ごとに行う絶対評価において、「2 やや不十分である」又は「1 不十分である」を付した場合には、当該評定要素のいずれの項目について「やや不十分である」又は「不十分である」と判断したか、その理由を選択することとします。この選択された項目については、第2段審査において審査委員に示すとともに、不採択者のうち第1段審査結果の開示を希望した者にも開示します。

まず相対評価は5段階評価であること。

そして、各評定要素ごとに行われる絶対評価において、1,2などの低い点数をつけるときは理由を選択しないといけない。だから、審査員的には手間を省くために3,4の点数をつけたくなるんじゃないのかな。分かり易い駄目な理由がなければ。というわけで、1,2をとった時点でけっこうきつい気がする。