ブラックボックスとか

研究をしていて、良いと思うところは、過去の偉い人達がどういうプロセスで新しい知識を生み出してきたかをおぼろげながら推測できること、というのもある。
これは、勉強をしているだけではわからないことだと思う。


昔、一人の学生が、「『とりあえずやってみる』というのが嫌だ」というふう言っていた。まあ、言い分もわからないではない。
でも、ブラックボックスの中身を探るには、「とりあえずやってみる」しかない。ブラックボックスの中身を知っていたら研究する価値なんてないし。
ある意味、教える立場の人達にとって、学生はブラックボックスだし、学生にとっても先生という者はブラックボックスなのだ。
コミュニケーションはブラックボックスなのかな。
新しいことを知るためには、連続的にそこに近づくこともできるけど、なんらかの飛躍が必要なことがある。
または、連続的に近づくより、飛躍してから、間を埋めた方が効率が良いことがある。

何かを説明しなければいけないときがあって、ある原因から、ある結果をとりあえずつなぐことはできる。
でも、それは複雑なネットの一筋か二筋をたどったに過ぎなかったりする。
自分で試行錯誤して、苦労することにより、そこに含まれるある種の豊かさを体感できるのだと思う。

物性研短期研究会「外部場の時間操作と実時間物理現象」のご案内

http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/labs/mgsl/kenkyukai2010/index.html
6月22-23日

 これまで磁場、圧力、温度などの変数で誘起される様々な相転移が議論されてき
たが、そのような熱力学的な平衡状態に基づく議論を越えて、時間というパラメータ
をあらわに入れた物理現象の理解が様々な場所で求められている。 例えばコヒー
レントスピン操作、励起子のダイナミックス、光誘起相転移、 BE凝縮、高スピン―低
スピン転移、1次転移のキネティックス、磁気共鳴、磁気リラクサーなどはその例で
ある。
 これに対して操作する外場等としては磁場、電場、フォトンなどがあり、高精度、高
速かつ詳細な時間履歴の操作が可能になっている。
 その背景として、自由電子レーザーを始めとしたコヒーレント光源の著しい発展や
磁場を用いた量子ダイナミックス研究の進展などをあげることが出来る。
 このような観点から、外場の時間操作により引き起こされる様々な応答や相転移
に、これまで充分に検討されていない実時間物理現象という切り口で光をあて、実
験と理論の両面からこの実時間物理現象を概観し、今後の発展方向を定めること
は意義深いと考えられる。

http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/seminar/docs/program20100622.pdf
あれ、大道さんも出るんですね。