- 「お腹が減った〜」という事を考えている時間が最近とても多いです。
- 現時点ではまだ2週間経っていないし、体重が減るのはもう少し先かな。やっぱり7月末でしょう。
- その日に食べたものを記録していくと良いのかもしれないけど、ちょっと面倒なんだよな。
- 日々の時間がどんどん過ぎて憂鬱になることが多いけど、時間が経たないと成果が出てこないものもある。組み合わせが大事なのかな?って思う。
〈数学ガールシリーズ 5〉『数学ガール ガロア理論』(結城浩) の感想というか、インプレッションの羅列
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/05/30
- メディア: 単行本
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- 以下の文章は、書評と言うより、インプレッションの羅列。読みながら、読んだ後に、考えたり思ったりしたこと。
- わたしが感想を書くのは自分がより理解するためでもある。書くことにより、わたしは少し理解ができるようになる。そして、書いたものが未来の自分のプラスになれば良いとも思う。過程はいつも忘れてしまう。その名残というか断片だけでも残しておこうという気持ち。
- わたしが感想を公開するのは、自分がどんなことを考えているかを、すこし理解して欲しいというのもある。公開するということによって、ちょっとだけ他人を意識して書く。他人を意識して書いた方が、未来の自分にとっても読みやすい文章になることが多い。少なくともわたしに取っては。
- ただ、ここで想定している他人とは、未来のわたしだ。今のわたしと未来のわたしは、多くの知識を共有している。だから、簡素な書き方になる。
- わたし以外の特定の誰かに、わたし以外を含む特定の集団に対して、「何かを伝えたい」と思って書く事は、わたしにはあんまりない。せいぜい論文とメールくらいかな。
- わたしのサイトは、memoというか備忘録という側面がとても強いのでした。
第1章
- あみだくじは良い導入だと思った。
第2章
- 解と係数の関係。対称性に関して。
- 解と係数の関係を用いた計算については、大学受験のための勉強でいろいろやった覚えがある。でも、こういう事につながっていたのか、ってちょっと感動。
- 対称的な形にする、というのはとても便利。
脱線
- 固体物理学において、結晶場という概念がある。結晶場の計算をするときにでてくる式には、対称性が良いのがたくさん出てくるけど、こういうのも関係あるんだろうなって思ったり。等価演算子(equivalent operator)というのがあってですね。(略)
- 固体物理をやっていると、物質の対称性を考えないといけない(場合が多い)。並進対象とか。
- 物質の対称性については、『結晶としての固体』(G. Burns)と『物質の対称性と群論』(今野豊彦)で、基礎的な勉強しました。
- 作者: G.バーンズ,寺内暉,中村輝太郎
- 出版社/メーカー: 東海大学出版会
- 発売日: 1989/11/01
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- 作者: 今野豊彦
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2001/10/25
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- あと、わたしの専門の磁性については、こっちでいろいろ勉強しました。
『固体の電子状態と磁性』(望月和子・鈴木直)
- 作者: 望月和子,鈴木直
- 出版社/メーカー: 大学教育出版
- 発売日: 2003/07
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- 作者: 安達健五,鈴木平,中嶋貞雄,近角聡信
- 出版社/メーカー: 裳華房
- 発売日: 1996/10/01
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- 作者: 上村洸
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- 発売日: 1997/06/01
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- 量子力学を使って物理の事を考える際に、群論はいろいろな所で出てくるようです。物理と対称性に関する読み物としては、『物理と対称性 クォークから進化まで』(坂東昌子)などが面白かった記憶があります。(読んだのはずいぶん前ですが)
- 作者: 坂東昌子
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 1996/07/01
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第2章続き
- 体というのは、こういうふうに使うのか〜などと思いながら読んでいた。
第3章
- 群の話。三角形を使った説明とかがうまいな〜などと思いながら読む。
- p.63にお姉さんモードのテトラさんが出てくる。
第4章
- 円分方程式。単位円と対応づけて説明していておもしろい。「ベクトルの和」という話がでてきて、なるほど〜と思った。
- p.130のテトラさんの良い台詞。
「言葉・・・・・・というか書き方がとても大切ですね」
第5章
- 角の三等分に関して。「作図可能点」という概念が出てきて面白い。
- 第2章ででてきた「体(たい)」がここでこう関係してくるのか、って思った。知識として、「定規とコンパスだけを使って、与えられた角を3等分できるとは限らない」というのは知っていた。でも、こういうふうに証明ができるんだなってちょっと感動したのでした。
第6章
p.199
「公理が出てくるときはいつもそうだよ。最初は面白くない」
と僕。
それにミルカさんは次のように続ける。
「おもしろくなるのは」とミルカさんが続けた。「同じ公理を満たす別の数学的対象を見つけてから。ベクトルとは思えないものをベクトルと見なす」
ここらへんは面白い。まったく関係ないと思われていた物・事・概念を、結びつけることができるのが、数学の強力な力だと思う。
脱線
- 「まったく関係ないと思われていた物・事・概念を、結びつけることができるのが、数学の強力な力だと思う。」というような事を書いていると、あれを思い出す。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/04/03
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それでは、なぜ人間は交換するのであろう。その理由は脳にある。脳は情報を交換する器官だからである。まったく異なるものを交換し、等値化できるアナロジーを有する。記号や言語は、見ることも聴くこともできる。すなわり、電磁波と音波が脳の中で等値変換されて、私たちのシンボル活動が生じている。「金の匂いがする」とは、食物と金が交換され、交替できなければ成り立たない。アナロジーを利用して、対象世界をシミュレートするということは、実のところ人間の大きくなって余剰になった脳に由来するのである。一つの信号に対する一つの反応の回路が余分にあるために、喩えるものと、喩えられるものとが生まれ、代替が起こり、シミュレートを試みる。かくして、この余剰が比喩となり、抽象化を生み、オブジェクト指向の考え方になったのである。
- 孫引用は避けるべきと言うのが基本ですがご容赦を。こういうの面白いですよね。
脱線
- 作中で「僕」もミルカさんもテトラさんも、説明するときや考える時にノートを使っている。ノートを使って学んでいく。こういう記述が多い本を、わたしは〈数学ガールシリーズ〉以外では知らない。
- 〈数学ガールシリーズ〉は、タイトルから分かるように、数学が取り扱われている。扱われている数学の内容も面白いのだけど、「学ぶ事・学び方・学ぶ姿勢・学ぶ楽しさ」についての作者の考え方がいろいろ出てくることが、わたしにとっては面白い。
- 「糸口を掴んだ(と思った)時の興奮」「理解できたときの嬉しさ」「勘違いしていた事の悲しさ」とかの記述を、自分の過去の経験と比較しながら読むこともある。
- 過去の挫折や、過去の喜びがあるから、このシリーズをを面白いと思える、という側面はある。まだ若い人にとっては、「〈数学ガールシリーズ〉で記述されてたことは、こういう事だったのか」って、後で体験することもあるでしょう。
脱線
第6章続き
脱線
- 学ぶ理由はなんだろう?って考える事がある。
- 生きるために必要だから、というのはあるね。でも、学んでいることの多くは、生きていくために必要不可欠なこととは言えない。
- 楽しいから、というのはある。でも、学ぶのは辛いという側面もある。
- 整合的なのは安心、という側面もある。学ぶ事によって、矛盾が解消され、整合的な理解ができることがある。わたしは、矛盾があるといらいらする質(たち)なのだな。
- 大好きな人・尊敬する人に認めて欲しいから。そういう側面もある。能力が無ければ、意思疎通だってできない。
脱線
- 「コミュニケーション能力」というもの内実はきっと深い。誰と?(or何と?)、どのレベルでの?、とかを考えてしまう。何が達成されるべき目標なのか?とかも。
脱線
- ミルカさんは頻繁に「僕」をいじっている。
- もうちょっと言うと、「僕」が調子に乗る(あるいは出しゃばる)と冷たくあしらう。でも、逆に「僕」が落ち込むと、優しく(時には厳しく)励ましてくれる。
- 「僕」がミルカさんを好きなのはわかるわけですが、ミルカさんが「僕」を好きな理由というのはちょっとわかりにくいです。まあ、それが良いんですけど。
脱線
- テトラさんがユーリさんに対して大人ぶっているところとか良いですよね。ガール(=少女)達のいろいろな側面を見せて欲しいと思います。数学ガールは数学をする少女という意味合いもあると思います。
- あと、男性目線っぽいですが、知りたい・考えたい・理解したい対象としての「数学」と「少女」という側面もあります。憧れや近づくのに困難さが伴うものとしても。
- これは、女性目線にして、「少女」を「少年」に置き換えても良いわけですが。「僕」は一応男性ですが、これを女性に置き換えて、その他のキャラを男性にしてもいいわけですけどね。
- 対称性とか置換とかが何回もこの本では出てきますね。
第7章
- 3次方程式の解の公式は、始めて知りました。導出の仕方も含めて。なんとかわかるけど、何も見ないで自分で導出しろと言われたら無理。
第8章
- 体の話。それと作図可能数の話が関わってくると言うのが面白かった。あと、話が抽象的になってきて、ちょっと読むペースが遅くなってきた。
第9章
- ここらへんもなじみがないから読むのがけっこう大変だった。図を見て、こういうふうに分類できるのか、とか考えてた。
- p.341のミルカさんの台詞「割り算は同一視。剰余は分類」という台詞がたいへん良い。
第10章
上記の羅列を書き終わって考えたこと
- 中学高校の頃に、方程式を解くというのをたくさんやりました。大学に入ってからもやっぱりその種の計算は継続的に使います。今までの数学の勉強を振り返りながら楽しく読むことができました。
- この本、全部理解しようと思うと大変だと思うのです。全部理解しようと思うのは立派だと思います。でも、全部理解しなくても、つまみ食いするだけでもなかなか面白い本なので、躊躇しないで手に取ってみると良いと思います。
- 最初から通して読まなくても良いと思う。簡単で、面白そうで、取っつきやすそうな所から入っていくのでいいと思う。「ユーリ&僕」がメインで会話しているところは取っつきやすいのではないかな。
- ただ、数学的な伏線と物語的な伏線とを把握し、よりこの本を楽しむためには丁寧に時間をかけて読まなくちゃいけないと思います。時間をかけて楽しむことができる本だと思う。
- 『数学をつくった人びと〈2〉』(E.T. ベル)という本があって、以前読んだ。http://d.hatena.ne.jp/sib1977/20080727/p1
数学をつくった人びと〈2〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: E.T.ベル,Eric Temple Bell,田中勇,銀林浩
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/10/01
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- 「20 天才と狂気 ガロア」のところ。遺書となる手紙を書く前のことについてが面白かったので引用。
p.327-p.328
この手紙を書くまえ、彼は終夜学術上の遺書を書きとばすことに没頭して、矢のようにすぎさる数時間をすごしたのである。彼は自分の死を予感して、わきたつ頭脳の中から少しでも業績を残そうと、時間と競争しつつ書きに書いたのである。ときどき、彼は筆をとめて余白に「時間がない。時間がない」と走り書きしては、またおそろしくぞんざいな筆跡で、つぎの概要へと進んでいった。夜明けまえのこの絶望的な時間に書かれたことがらは、数百年ものあいだ、いく世代もの数学者を多忙にせずにはおかないだろう。彼はついに、数世紀間数学者を悩まし続けてきた謎の真の解法をみつけた。いかなる条件のもので方程式は解きうるか、という謎である。