【2009年5月15日 追記】DPPHのg値が2.0023って書いてありますが、これは、量子電磁気学における自由な電子の正確なg値です。DPPHのg値は粉末の場合、2.0036であり、ベンゼン溶液の場合2.00354でした。
(回りくどい表現や、正確でないところもあるので、そのうち書き換えるかもしれません)
ガン発振器を用いる場合
磁場の実験値 H^{exp} 単位T
補正された磁場 H^{correct} 単位T
磁場の補正係数 c (H^{correct}=c*H^{exp})
ディテクターが検出する電磁波の透過度 I(H^{exp})
DPPHの共鳴磁場の実験値 H_{DPPH}^{exp} 単位T
周波数から予想されるDPPHの共鳴磁場 H_{DPPH}^{correct} 単位T
DPPHのg値 g_{DPPH}=2.0023 2.0036
サンプルの共鳴磁場の実験値 H_{sample}^{exp} 単位T
補正されたサンプルの共鳴磁場 H_{sample}^{correct} 単位T
サンプルのg値 g_{sample}
サンプルの共鳴線幅の実験値 Γ_{sample}^{exp} 単位T
サンプルの共鳴の積分強度の実験値 ∫I_{sample}^{exp}(H^{exp})dH^{exp}
入射される電磁波 ν 単位GHz
プランク定数 h
ボーア磁子 μ_B
ν[GHz]=g*μ_B/h*H^{correct}
g_{DPPH}*μ_B/h=28.02528.043 (GHz/T)
ガン発振器を用いる場合、周波数は安定していると思われるので、定数として扱います。磁場は、ピックアップのセンターとサンプル位置がずれてしまう可能性があるので、補正する必要があります。その際に磁場マーカーとなるDPPHの共鳴磁場を用いて補正します。
h*ν=g*μ_B*Hが共鳴条件なので、DPPHの共鳴磁場は
H_{DPPH}^{correct}=(h*ν/*μ_B)/g_{DPPH}=ν/28.02528.043
となるはずです。しかし計測される値はH_{DPPH}^{exp}となります。H_{DPPH}^{exp}とH_{DPPH}^{correct}とは比例関係にあるはずなので、
c*H^{exp}=H^{correct}
これはDPPHの共鳴磁場でも成立するので、
c*H_{DPPH}^{exp}=H_{DPPH}^{correct}=(h*ν/*μ_B)/g_{DPPH}
c=h*ν/(g_{DPPH}*μ_B)/H_{DPPH}^{exp}=ν/28.02528.043/H_{DPPH}^{exp}
が成り立ちます。この関係式から周波数と実験で求めたDPPHの共鳴磁場が分かれば、補正係数cがわかるので、磁場を補正することができます。
実験値で得られた磁場にかかわる値は、c倍してやればよいことがわかります。
サンプルの共鳴磁場は
H_{sample}^{correct})=c*H_{sample}^{exp}
サンプルのg値は
h*ν=g_{sample}*μ_B*H_{sample}^{correct}=g_{sample}*μ_B*c*H_{sample}^{exp}
h*ν=g_{DPPH}*μ_B*H_{DPPH}^{correct}=g_{DPPH}*μ_B*c*H_{DPPH}^{exp}
なので、
g_{sample}=g_{DPPH}*H_{DPPH}^{exp}/H_{sample}^{exp}
となり、補正係数は関係ありません。
BWOを用いた場合は、周波数の誤差が大きい可能性があります。そこで、磁場を補正する係数cはガン発振器を用いて得た平均値を使うことにして(c_{Gunn}^{av})、周波数νを逆算することにします。
H^{correct}=c_{Gunn}^{av}*H^{exp}
を満たすので
H_{DPPH}^{correct}=c_{Gunn}^{av}*H_{DPPH}^{exp}
も満たします。周波数νは、
ν^{correct}=g_{DDPH}*μ_B/h*H_{DPPH}^{correct}=g_{DDPH}*μ_B/h*c_{Gunn}^{av}*H_{DPPH}^{exp}
というふうにかけます。
サンプルの共鳴磁場は、
H_{sample}^{correct}=c_{Gunn}^{av}*H_{sample}^{exp}
とかけます。
サンプルのg値はGunn発振器の時と同じで
g_{sample}=g_{DDPH}*H_{DPPH}^{exp}/(H_{sample}^{exp})
つまり、g値を求めるだけだったらやっぱり補正係数c_{Gunn}^{av}は関係ないことになります。