分散関係とか

某さんに書いたメールを一部修正して掲載。

uniformな一次元反強磁性体の分散関係
E(q)=πJ|sin (q)| となります。
これを、des Cloizeaux and Pearsonの式といいます。
ちょっと手元の本を調べたら、少なくとも下記の二つの本に
軽くふれられています。

小口武彦:「磁性体の統計理論」
http://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN4-7853-2312-4.htm
芳田 奎:「磁性」(岩波書店, 1991)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4000054422/

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OさんのD論のIntroductionの1ページ目とかを読んでみて、分からないことがあったら、早めに調べたほうがいいと思う。知ってそうな人に聞くと良いと思う。

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一次元スピン系の良い資料とかがあればよいのだけど、ちょっとすぐには思いつきません。私が○○大にいた頃持っていたの資料はある程度見せた気がするし。

G君かYさんに良いのがないか聞いて見ると良いと思います。


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私の発表の時に少し話した、Nagata-Tazuke理論については、http://lee.phys.titech.ac.jp/%7Etanakalb/seminar_old.htmlにもあるように2004年の後期にY君が読んでいるはずです。興味があったら聞いて見ると良いと思います。(○○○○には直接関係がないかもしれませんが。)

『物性』という雑誌の1972年3月号の23ページに「一次元Heisenberg磁性体における常磁性共鳴吸収」と言うタイトルで日本語の解説があります。

追記

『磁性』(芳田奎)のp.165にのっています。

『磁性体の統計理論』P.247の「8-7図」の意味が理解できれば良いかと。(導出はともかく)

P.254の参考文献欄に名前はちゃんと出ています。
18) J. des Cloizeaux and J. J. Peason
目次や索引には名前がでていないみたいですね。


何故、この分散関係が大事かは自分で考えてみたり勉強したほうが良いと思いますが、簡単に。

ネール状態を基底状態として出発したスピン波理論だと、E(q)=2J|sin (q)| (←これは導出できたほうが良い)となって、厳密な理論(J. des Cloizeaux and J. J. Peason)とπ/2の因子だけ異なることになります。

実験結果はJ. des Cloizeaux and J. J. Peasonの関係に従うようです。これは、ネール状態が基底状態でないことを示しているとも言えます。

フォノン分散関係が分かると、格子比熱が計算できるように、磁気分散が分かると磁気比熱が計算できます。(もちろん磁化も分かります)

これは『磁性体の統計理論』の「第6章スピン波の理論」あたりにも載っています。個々の磁性体において計算するのは難しいとしても、代表的な例は理解しておいたほうが良いと思います。

磁気励起の分散関係から磁気比熱の導出するという話は、Yさんの修士論文とも関係があるので、聞いてみると良いと思います。