考察

弟子:師匠、例の論文が間に合いません。
師匠:・・・だから早くやれって言ったのに。
弟子:とりあえず、「イントロ」と「今までの研究(+目的)」と「実験方法」は書きました。
師匠:「イントロ」と「結論」は最後に書くもんだと思うけどね。
弟子:結論は最後に書くとして。「実験結果」と「考察」をどうしようかなーと。
師匠:実験結果は、とりあえず、全部まとめて書くしかないかな。
 あとで取捨選択することにはなると思うけど。
弟子:でも、まとめるのに時間がかかるから最初から
 はしょれるものははしょりたいなぁ、なんて。
師匠:・・・。
弟子:えっと、やります。それで、一番の問題なんですが・・・。
師匠:考察やね。
弟子:何を書けばいいのかわかりません。
師匠:基本は、何かに帰着させることなんだ。
弟子:「何か」って何です。
師匠:既に出ている、実験とか理論とかだね。
弟子:あんまり今までの研究の歴史とか経緯とか知らないんですよね。
師匠:それはたいへんやなぁ。
弟子:他人事モードですね。
師匠:まぁ、過去の他の学生の論文を読んで使えそうなところをピックアップしてみるとかね。
弟子:うーん。
師匠:いくつか、読めばわかるけど、意味もなく実験しているわけじゃなくて、
 なんらかの予測があって実験がある。
弟子:でも、うちの方針ってとりあえず測ってみる、って言ってましたよ。
師匠:まぁ、それは言葉の綾やね。予測がまったくないってことはなくて、
 予測と外れることも期待してというべきかも。
弟子:ふーん。
師匠:で、目的というのは結果がでてから後付けでも良い。
弟子:じゃぁ、目的も書き直せってこと?
師匠:それは時間があったらということで。
弟子:とりあえず、考察をどうすればいいか教えてください。
師匠:まず、測る前に「こういうふうになりそうだな」ってのがあるわけだ。
弟子:ふんふん。
師匠:そして、実際に測ってみると、予想外のことが起こったりする。
弟子:それで。
師匠:なぜ、その予想外のことがおこったかを「場合にわけて」説明していけばよい。
弟子:でも、今までの研究を知らないから、
 どういうふうに場合わけすればいいかわかりません。
師匠:勉強しろ。つーか、イントロが、実験と全然関係ないんじゃないかというお寒い予感が。
弟子:それに、場合わけできてもその後どういうふうに論じていけばいいかわかりません。
師匠:けっこう重症だなぁ。
弟子:てへへ。
師匠:照れるな。気持ち悪い。今までの研究室内セミナーや研究会の発表練習が
 自分の論文と関係ないと思っているからそうなるんだよ。
弟子:反省はしてるみたいです。
師匠:他人事モードやな。仕方がないから、「実験をする前に予測されること」が
 書いてある参考文献を教えてあげるから、まずそれを読みなさい。
弟子:結局、読まなければいけないのかぁ。
師匠:あたりまえだ。ついでに、頭を使ってがんばって考えないとだめだ。
弟子:「成果も大事だけど、プロセスも大事なんだ」(棒読み)。
師匠:やるきあんの?
弟子:そこそこ。
師匠:とりあえず、少し勉強してから出直してきなさい。
 でも、あんまり時間を置きするぎるとだらけるので、三日後くらいにまた来なさい。
弟子:身近にもっと頼れる人がいれば、そっちを頼るのになぁ(ボソボソ)。
師匠:なんか言った?
弟子:ありがとうございます。出直してきます。
師匠:まぁ、がんばれ。

昔書いたネタ。実在の人物とは関係ないフィクションです。

いろいろ変なことを言っているのですが、どれだけ突っ込めるでしょうか?とくに「師匠」の発言につっこみたいことが多いですね。気が向いたら、どういうところが変な発言なのかを書くこともあるかもしれません。