雑感478-2009.6.10「ナノハイプ(ナノ狂騒)」

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak476_480.html#zakkan478

Hype(ハイプ)とは、誇張とか誇大広告という意味で、タイトルの狂騒に近い。原書の著者は、North Carolina Univ.での、コミュニケーション学のDavid M. Berube教授で、専門は科学や技術の修辞学だそうだ。

たいへん面白い記事。

この本を読んで、もうひとつ考えることは、研究開発費に占める国の研究費の大きさが膨大になっている現状である。同じ分野の中での研究者間の競争はあっても、分野間の競争は“国策の選択”で決着が着いてしまう現状を見せつけられる。

研究の萌芽期が、個人の研究者の選択に任されていた時代には、もしかしてとてつもなく大きなことが起きるのではないかという思いと、いや、何も生まれないかもしれないという葛藤は、個人の問題であったが、今は、それが国の研究開発政策のゆらぎという形になって現れる。つまり、多くの人の関与で決める状況になっているからである。

個人のひらめきやある種の卓抜した能力は生かすことができない局面になり、多数の賛同を得るために、ますますハイプが必要になってしまうのである。国策としての科学技術開発が強くなればなるほど、このゆがみが大きくなる現実がある。