『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』(田崎晴明)

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識

読みました。(付録はとばしました。)

関連していろいろ思ったことをいつものように箇条書き。

  • 良い本だと思います。
  • 知っていることも多かったけど、知らないことも多かったです。こういうふうに書籍としてまとめてあるのは良いですね。
  • 放射線の問題やたいへんやっかい。絶望するほど悲観的なのは変だけど、楽観視・軽視することもできない。
  • 常識のレベルを上げて、しつこく冷静に継続的に対処していく必要があるんだと思います。
  • 放射線の基礎的な事はともかく、人体への影響に関して非専門家が書くというのはたいへんだったと思う。すごい勉強したと思う。それを分かり易く伝えるために、いろいろ工夫したと思われる。
  • 中学生以上を対象としているみたいだけど、高校の化学の知識がないとけっこう難しいような気がする。その種の知識があれば比較的読みやすいと思う。
  • 優しくて、誠実な感じの書き方で良いです。あと、科学観みたいなのが垣間見えてそこも良いです。にまにましながら読んだ。 不謹慎かもしれないけど。
  • 多くの人達を「応援している」というふうに感じた。直接的にがんばれといっているわけではなくて。間接的な感じだけど。
  • 原発事故で辛かった事の一つとして。争う必要が無い人達の間に激しいコンフリクトが生じたこと。冷静な第三者の前で、きちんと面と向かって話せば、きっと生じなかったコンフリクトもたくさんあったと思う。
  • 基礎事項をできるだけ共有すること。互いが重要であると思う事をある程度は尊重すること。そういうのが大事だと思う。
  • 意味のある議論が成されて欲しいって思う。建設的な提案が成されて欲しいと思う。
  • 作者は一流の物理学者であり、一流の研究者であり、一流の教育者。この人のリソースが放射線問題に使われてしまうのはちょっともったいないって思ってしまうのでした。自分が専門の事をやることの重要性を知りながらも、この問題に踏み込まざる得ないって思ったのだと思います。
  • 悪者探しをしないところも良いですね。
  • あと、保障問題は難しいと思うので、触れていないのは正解だと思います。
  • 放射線取扱者は、年に1回血液検査をする。福島はそこら中が管理区域みたいになったわけで、住民の血液検査もやるべきなのかな?とかちょっと思った。けっこうな費用がかかりそうだけど。(わたしが知らないだけでやっているのかもしれないが。)
  • わたしは実験で中性子線とかX線とか取り扱っていた時期があって、血液検査をしてもらっている時期もありました。
  • わたしは放射線関係の資格は持っていないけど、講義は受けていて、単位は取得していたはず。
  • 放射線の測定や、測定装置が出したデータの処理の仕方に関しては、別の本を読む必要がありますね。入門的な良い本があると良いけど。

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加筆修正に関しては下記。
「単行本「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」に関する情報」
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/printversion.html

下記も参考。最新バージョンがただで読める。
『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』(田崎晴明)
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/


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ついでなので、作者の人が書いた本とか翻訳した本とかも挙げておきます。網羅的ではありませんが。

『熱力学―現代的な視点から』(田崎晴明)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

統計力学 I,II』(田崎晴明)

統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)

『数学:物理を学び楽しむために 』(田崎晴明)
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook/index.html

『「知」の欺瞞――ポストモダン思想における科学の濫用』(著:アラン・ソーカル, ジャン・ブリクモン,翻訳:田崎晴明,大野克嗣,堀茂樹)

「知」の欺瞞――ポストモダン思想における科学の濫用 (岩波現代文庫)

「知」の欺瞞――ポストモダン思想における科学の濫用 (岩波現代文庫)


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【追記 2013年1月21日】
お奨めの書評はこちら→ 「[朝日新聞書評][書評]田崎『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』」(山形浩生 の「経済のトリセツ」)
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20121113/1352815276

消防署消防査察前の準備

  • 噂では、今回の査察は本格的らしい。
  • 開けることができる扉等は全部開けるとか。
  • それなので、いろいろ変なところがないか確認中。査察が終わるまで気が休まらないだろうな。
  • 東工大で事故があるのは、管轄する消防署としても困った事態。査察を行った後に、事故が起きたりすると、消防署も大学も困った事になると思う。だから、けっこうきつめに指摘・指導が入るんじゃないかと思う。
  • 指導内容に、改善にお金や手間がかかるようなのがあると、なかなか大変だなぁ。(´д`)
  • 毒物劇物等は扱っていないけど、高圧ガスは扱っている。関連して、安全面に配慮する必要性はありますね。