『かぐや姫の物語』の感想

http://kaguyahime-monogatari.jp/

  • 面白いのです。
  • たくさん感想を書いていますが、見ている途中凄い感動したりはしませんでした。「凄い〜」とは思いましたけど。
  • いろいろ思い返すと、「良くできているな」って思う感じです。
  • 二度目を見るともっと楽しめるかな。伏線も理解できるだろうし。
  • 以下ネタバレ感想です。インプレッションの羅列というべきかな。見る予定のある人は読まない方が良いです。
  • 90%くらい面白いです。でも、10%くらい気になるところがありました。
  • 喜怒哀楽とか四季とか生と死と再生とか。生きる喜びとか。生きる上で避けられない悲しみとか。込められたメッセージみたいなのはある程度わかります。
  • 失ってみて、本当の価値がわかる。
  • かぐや姫の拒絶の表情とか、喜びに満ちた表情とか悲しみの表情とかとても良いです。
  • 怒りと悔しさで走り回るシーンは良いですね。
  • 四季の移ろいの描写は良いです。
  • 新しい屋敷に移って、いろいろ走り回る描写も良いです。子どもってあんな感じですよね。
  • 風景描写は、日本的な感じ。日本人は、日本画などにおいて、日本の景色を技術をつくして描写してきたわけですが。日本人が歴史を通じて培ってきた、自然や人へのまなざしを感じさせる描写。水墨画的な場面、水彩画的な場面。目に優しく面白いみがあります。
  • たくさん人が出てくるシーンは面白いです。
  • 月から迎えに来るシーンで、音楽自体は楽しさに溢れているのに、凄い悲しく感じてしまって、その演出とかも良いです。
  • 挿入歌は良いですね。
  • 嵐の海の描写は凄い。雲や海水が龍に見えるという。こういう描写は日本的だなって思います。それでいて新しい。
  • 翁は、かぐや姫のためにいろいろ頑張るわけですが。でも、かぐや姫の気持ちを考えていないのですよね。自分の考えた幸せを押しつけるような。これって、見ていて、凄い悲しく切ない気持ちになりました。幸せにしてあげたいという気持ちが、かぐや姫を傷つけ苦しめ、そして別離につながる。
  • 「この世界で生きることの価値、すばらしさ」が表現されていたのかもしれない。でも、「もう十分に生を堪能したでしょう? 死を受容しなさい」と、私は受け取ってしまいました。だから、この映画は、ちょっと怖かった。
  • 生命賛歌でありながら、鎮魂歌でもあるのではないでしょうか。
  • 捨丸と空を飛ぶシーンの意味がちょっと受け入れにくかった。愛する人と一緒にいることの価値。邂逅できたことの価値。わかりあえたと思えることの価値。…とかかな。
  • 捨丸はかぐや姫のせいで捕まって、ぼこぼこに殴られ、雨の中を放置される。かぐや姫の悲しみとか辛さとか。でも、再会して、互いに通じ合っていることを確認できて癒される。
  • 時間が十分に経っているのに通じあえたって思えることはすばらしい事かも。貴族(あるいは富豪)と平民(貧乏人)との間にあった溝というか壁。そんなことはどうでもいいと思えるような瞬間。過去の絆は消えていなかったと信じられる瞬間。
  • 喜怒哀楽を分かち合った仲間。かぐや姫が本当に必要だった物。
  • 性的な事はあまり描かれません。その代替がお空を一緒に飛ぶことなのかな?と思いました。どうでしょう? かぐや姫からすればあの流れはほぼ告白だし、伴侶にしたいという事だと思うんですけど。
  • 裕福であることや、美人であること。そういうのじゃなくて、「本当の私を見てよ」って言うのもあるかな。せめて、「本当の私を知ろうとしてよ」と。
  • 承認欲求とか。社会の評価基準と、自分の評価基準との著しいずれに由来するコンフリクト。
  • 寄ってくる求婚者達に、生理的な嫌悪感を感じたんだろうなぁ。吐き気がするような、鳥肌が立つような、逃げなくちゃいけないような。
  • 勝手に好きになられて。結婚したいからという理由で嘘を吐かれて。あげくは自分のために死なれたり。もう、うんざりうんざりうんざり。
  • かぐや姫に許された事は、拒否することだけ。何かを積極的に自分から選べない。それは現在の日本の女性の多くの状況なのかな? って思った。女性に限らないかな。
  • 大きな枠組みがあって、そこからは逃げられない。でも、その枠組みの中で、いろいろな事が起こる。そのいろいろな事への愛しさ。狂う惜しいほどの。切望。渇した人が、水を望むような。
  • かぐや姫は苦労してでも、子どもを育てるべきだったのではないでしょうか。とか、ちょっと頭を過ぎりました。そしたら、もっと喜怒哀楽を感じることができたのではないでしょうか。
  • いずれ月に帰ることを考えると、意味をなすことができないのかもしれませんが。
  • 生きているだけで価値がある。でも、私は何かを作って欲しいって思ったのでした。
  • 月から来た子どもは、翁と媼に生き甲斐を与えました。
  • 別離が悲しいのは、それが紆余曲折やすれ違いがあったとしても価値があったものだから。
  • 私はお話を書くことがありますが、別離というのはやっぱり面白いテーマ・要素だと思います。
  • 何も成せないで生きるというのは、私に取って辛いのです。私が存在した意味があって欲しいとか思います。
  • 何も成せないのなら死んだ方がいいのか? と言われるとそれは違うと思います。
  • 生きている限り、生きたことがある限り、誰かの重荷になったり、誰かの役に立ったりします。生きていたことがあれば、誰かの心の支えになることもあるし、誰かを悲しませることがあるのだと思います。
  • 私は、そんなに長く生きてもなぁ、と思う事も多いのですが。若い頃には気がつけなかったことにいろいろ気がつくこともあります。また、若い頃にはできなかったことになんとか手が届いたりするようになることもあります。
  • だから、もうちょっと生きていても良いかな?って思うのでした。
  • 悲しみの原因と思われるものが、いくつも描写されます。悲しみ避けるためにできることは何か?って考えるのは意味があることかもしれません。
  • 病や老いや飢えや渇きや。そういうのに由来する苦しみは、昔に比べて減じていると思います。なんというか、あっさり死ぬことは減ったし、平均寿命も長くなったし、社会が豊かになったから、飢えや渇きで何万人も死ぬとかは日本ではない。(日本は、自殺数が多かったりするけど、ここでは触れません)
  • 現在の私たちが抱えている悲しみや苦しみの原因は何でしょうか?
  • ここでの翁と媼って何歳くらいなのでしょうね。40〜50くらいかな?終わり頃はもう少し年かもしれませんね。重労働で体にガタが来ていてもおかしくない年代だったのではないでしょうか。そんなに先までは生きれないだろうし、いずれ死ぬ。そこに元気で聡明な子どもがきたのですよね。
  • 「巡ること」が取り扱われているわけですし、子育ての喜びみたいなのは翁と媼がそのパートを担ったと考えるのが良いかな。
  • 人は、どういうときに力を出せるのだろう?って考えます。「自分は」と置き換えても良い。
  • 私は、死ぬ前に、そこそこ充実した人生だったな、と思う瞬間があれば良いと思うんですけど、どうなるかな?
  • かぐや姫には月に帰る以外の選択肢はあったのでしょうか?あったと思いますか?いつ、どこでそれを選べたでしょうか?
  • 劇中の大きなイベントがある以外の時を、かぐや姫はどういう気持ちで過ごしたのでしょうか。庭いじりしたり、布を織ったりしていたときに。いろいろ諦めた状態の、静かな気持ちで時を過ごすかぐや姫の事に思いを馳せて、とりあえずここで感想を書くのを止めます。

【2015年1月追記】