『科学の真実』(ジョン・ザイマン)

科学の真実

科学の真実

まだ、あんまり読み進んでいない。面白い本。密度が濃い。とっても濃い。最近、読んで面白かったところをちょっとピックアップ。


p.196

問題や問題領域を選択することは研究の成功への鍵となることが多く、科学に関する才能の中でもっとも創造的なものと思われています。

どの場合も、研究課題は「選択される」ために、あるいは発見されるために存在するわけではなく、問題として定式化されなけばなりません。あからじめ定められたカテゴリーでの研究のためにできているわけではなく、自然の女神は、試験問題のように注意深く作られた問題のリストを科学者に差し出すわけでもありません。原則としてすべての研究者は、業績評価の対象となるような問題を自分で組み立てなければなりません、科学の才能の最高峰と言われる人は、「問題解決」において名人芸を発揮するのではなく、古来の不思議に対して正しい疑問を発し、日常的な疑問の中の本当のなぞを見分け、新しいなぞを解く方法を発明して、これらの問題を改めて提起した人として不朽の名を残しています。

p.197

科学史家や伝記作家は、著名研究者個人の心理的、社会的、学問的な足跡をたどることにより、その経緯を再現し、分析しようとします、彼らのそれまでの理論的な研究課題は何だったか。彼ら自身のキャリアへの期待、内心の希望、人間関係、政治的興味、科学以外の環境はどうだったか。研究に影響を与えたかもしれない政治的、経済的、技術的、あるいは認識的な思考の変遷の中でいかにして目標を決定し確立したか。複雑でばらばらな研究背景の中で提出された問題をどのように確認し、選別し、再構成して「良い科学」に転換したか。