『詩的私的ジャック』(森博嗣)

本の感想。昔書いたもの。

詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

「原理がわかっているのに、何故、こんな不自然な仮定の問題を幾つも解かなくちゃいけないのか、ってことです。それが私には理解できないわ。どうして、こんなことに時間をかけて、訓練をしなくちゃいけないんですか?」

という萌絵の台詞の後の犀川の台詞。

「それは、たぶん。原理がわからなくても。問題が解けるようにするためだ」

こういう萌絵と犀川の会話がこのシリーズを通しての大きな魅力です。また、「すべて、綺麗なイコールのために」というフレーズが出てくるのですが、これもなかなか良いですね。あと「趣味と仕事の違い」にかんする犀川と喜多との差異も面白いです。でも一番すごいのは「人が亡くなると悲しくなるのはどうしてですか」という問いとその答かもしれない。