「事業仕分けについて雑感」

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091121/1258812557より引用。

自分は理学系の固体物理の実験屋だったから、予算なんてのは削られ放題で、科研費を申請しようにも、申請書に何て書こうか苦労したものだった。だから、なるべく予算を掛けないように頑張るとか、他の研究室から分与されてくる金だとか、いろいろ融通した。

ふむふむ。みんなそうだよね。

外部資金を取ってくるともなれば、実用性についての話は当然出てくるから工学系に比べれば状況は厳しい。もちろん、自分の研究は先端とは到底呼べないようなものだったが、常に「役に立つかどうかなんて基準を今持ち出すなよ」というのは実感としてあったのだ。

わかるなあ。

特に独法化以降、学内でも「選択と集中」は容赦なく進められた訳で、その段階で「何も知らない人間が判断する」状況は当然のようにあった。

で、その自分達が削られる一方の結果としての「選択と集中」であったのが、スパコン研究であった筈なのだから、当然「役に立つ」と判断されるだけの価値がある、とこちらも考えていたのだ。

ところがだ、事業仕分けで示されたスパコン研究の説明は信じられないほど貧弱な代物だった。

「え?これで説明しているつもりなの?」

これが正直なところの気持ち。だって、こちとらずっと「何も判らないド素人」に「どのような価値を持ちうるのか、たとえすぐに役立たなくてもどういった意味があるのか」について散々説明し続けてきたわけですよ。


うーん、私も同じような感想でした。



でも、私が言うと、研究費を取れない人の愚痴に過ぎなくなってしまうのだけど。

自分は一見ムダに見える研究であっても、それが最先端でなくても研究や研究者に金を出してやるべきだろうとは思う。が、その一方で自分の研究がどう位置づけられるものなのか、それはもっと研究者も自覚的であるべきだと思うよ。それは、金を引き出すためだけじゃなく、自分の研究について客観的視点を持ち込む、という点でも重要だろう。

私と同じ世代の研究者はそういう価値観を共有しているという気がする。そういう空気の中にいる、に近いかもしれないけど。