佐藤 文隆 氏「科学技術エンタープライズで雇用拡大を」

http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview46/index.html

個々の関係者が一斉に声を上げることは大事です。今回のような流れの中で、科学技術予算のあり方が国民の前に明らかにされることはいいことですから、研究者たちも自分たちの視点を世間に通用するように鍛えるいい機会です。ノーベル賞学者が出てきたから政策論議なく物事が決まるでは、政治的には成熟していかないと思います。

凄いな。いいこと言います。時間的空間的に大きな視野で物事を見ている感じですね。

日本では数年前から、元学長や学者経験者が常勤議員として入っている内閣府総合科学技術会議が、省庁から出てくる事業をランク付けして財務省の予算算定の参考にする仕分けを始めていました。その昔は自民党財務省がやっていた過程をある程度可視化したわけですが、今回は民主党がこのプロセスを国民の前にさらけ出したということです。そのこと自体は政治の仕組みとしてはよかったのではないでしょうか。民主党が1本とった形です。

学識経験者がランク付けしていたなんて知らなかった。科学の予算がどういうふうに決まるか?ってよく考えてみれば全然知らなかったなあ。

民主党は1本とった」って私も思います。これだけでも、私は政権交代をした価値があると思う。

民主党をぼろくそに言う人はけっこういますけど、予算算定に関する情報公開は極めて画期的だと思います。

税金配分の俎上(そじょう)で国民との議論を深めるには唐突のようですが「雇用」という観点から問題をとらえるべきです。日本が営々としてここまで築いてきた世界ブランドの「科学技術エンタープライズ」を発展させて世界の中でわれわれの子弟が生きていく雇用を確保するという方策と決意のほどを科学界も政策担当者も提出すべきだということです。エンタープライズというのは「界」ということで、論文づくりの研究者たちだけでなくもっと広くとらえた世界というような意味です。現場の研究者や狭義の研究支援者だけでなく、研究情報や巨大な研究インフラの運用、研究機器の製造販売、知的財産関係、科学技術国際機関、小中高の教育現場、社会教育、文化、メデイア、等々を含めた大きな集団のことです。

まず、「雇用」について言ったのが凄い。こういう視点を持っていて、それを言える大学や国研の研究者がどのくらいの割合いるだろうか?頭がクラクラするほど凄い。


医療の話が次に出てきて、比喩として大変分かりやすい。

しかし、科学というと相変わらずノーベル賞受賞者が模範であるような狭い職種の人しか、多くの国民はイメージしないのではないでしょうか。日本の研究力が増してきたのはこの長年にわたって築いてきた科学技術エンタープライズのおかげで、傑出した業績を可能にする環境も整ってきたからです。

ふむふむ確かにそうだと思う。

それこそ国民の税金をつぎ込んで築いてきた国民の資産であり、これを活かして世界で生きていく方策が示され論議される必要があると思います。「生きていく」を「雇用」と表現しているだけで起業でも何でもいいのですが、国家の政策として日本の科学技術ブランドを一体的に世界に提示されていることが重要だと思います。(略)
それで活性化する科学技術エンタープライズの雇用は納税者に開かれるべきですし、その多くは次世代の教育にも割かれるべきでしょう。

この考察も凄い。

この方向性はきっと正しい。

そして、それを実際に実行する人材も日本には存在しているでしょう。

そのためには、今までのしがらみをある程度切って、組織を再構成する必要があると思う。

今回「次世代スーパーコンピューター」も技術上の戦略論議はあの場にふさわしくなく、「世界一」なら「雇用」が増えるという論議をしてほしかったと思います。

なるほど。今の社会にとって、雇用は凄い強力なキーワードだと思う。