25歳以下は読むの禁止。
「異性にどんなことを言われたら嬉しいか?」って感じの話題をしたこともある。
この種の話題をすることは稀なのだけど、稀なだけに印象深く今でも会話の細部を思い出せる。
「私もね、女の子がどんなことを望んでいるか?
どんなことを言って欲しいか?って少しは分かってきたよ」
こんな感じで彼は切り出してくる。
「うーん、どんなこと?"私"に言ってみてよ」と笑いながら私は答えた。もちろん、冗談。
「まぁまぁ、落ち着いてよ。相手によるからね」と、くすくすと彼も笑っている。
「そういう答えってずるいと思うな」
ちょっと怒った振り。拗ねた振りではない。たぶんふざけて聞いている事は通じる。
「20歳以上は、女の子じゃないというのが私の定義だ」
「ん、そう。でも、さっきの女の子って言い方は女性って意味で使っていたでしょう?」
「そうだね。女性って意味で使った。・・・ごまかせないな。失言・・・っていうのかな?こういうの。でも面と向かって言うのはちょっと恥ずかしいな。今は勘弁してくれる?」
顔を下に向けて、上目遣いでこちら見て言う。
「仕方がないなぁ」ってまた私は笑ってしまう。
呼吸のリズムの僅かな変化。目や口や顎などの僅かな動きから読み取れる表情。会話の間(ま)。彼が何かとっておきのことを言おうとしているな、って感じる。とっておき、というのは、たぶん、私以外には決して話さないだろう、って思えること。彼のコアに近い感情や、考え方、哲学とか、そういうの。この予測は滅多に外れない。私は彼の話す準備ができるまで少しだけ待つ。数秒後、予測通り彼は話し始める。
「・・・『どんなことを言われたら嬉しいか』は、なんとなくわかるけど、私が女だったらそんなこと言われたくないかな」
「そんなことって、だからなんなの?」
「"安易に誉めること"・・・かな」
「例えば、外見を誉める場合とか?」「まぁ、そうだね。これは尊厳の問題だと思うな。尊厳なんて言葉を使うとばかばかしいかな?たとえ、心をくすぐる、気持ちよい言葉だったとしても『馬鹿にされている』って気がすると思うんだよね。ガキ扱いされていると感じると思う『社交辞令って大切だよね』って思ったりすると思う」
「続けて続けて」と、彼を促す。
「『クリティカルなことを言うつもりないな?』、『自分の知性を示そうとしていないな?』、『私の精神や心に入って来ようともしないな?』って感じかな。それがマナーだとも思う。でも、それは、『踏み込んできていない』ってことだと思う。安易なほめ言葉とかお世辞とかを言う相手もやだし、そういうのお世辞だと分かっていても、嬉しいと感じてしまう自分もむかつく。・・・何でこう思うのかな。私の価値体系の中ではそれはたいしたことじゃないと見なしたいことだから・・・かな」
一人称が両方とも私ですよ。とりあえず、会話しているのは二人です。とりあえず、彼と言われているほうは男性で、地の文は女性でしょう。たぶん。続くかも。『数学ガール』に対抗して「萌え対話」を作ろうと思ったわけではないです。