その12 「安易に誉めないで? 2」

25歳以下は読まないこと。

http://d.hatena.ne.jp/sib1977/20070915/p7の続き

「なんか面倒な価値観だよね。この世で生き難いって言うか」
と、私。でも、私は彼が言いたいことがなんとなくわかる。


彼は話をゆっくりと続ける。
「できることなら、私の価値体系を汲み取って・・・」


価値体系とかそういう言葉をすんなり受け入れてくれる人は、この人の周りに私以外で何人いるのだろうか?って思う。


「普通無理だよ、それ」
と、私。そう、"普通"は無理なのだ。


彼は軽く目を閉じている。何かを思い出しているような表情。そしてゆっくりと話す。
「うん、まぁそうだよね。私の価値観をちゃんとリサーチしてもらった上で、私の目標と私の努力とその成果をそこそこ的確に見積もって正当な評価をして欲しいな」


そして、それは"普通"は無理だ。
「無理だよそれ。ありえないありえない」


彼の価値を知って、または知ろうとする人はこの人の周りに私以外でどれくらいいるのだろうか?


この人のこと私以上に知っている人はどれくらいいるのだろうか? 私は、話す機会も多いし、けっこう彼のことをわかっているつもり。でもその見積もりとは異なる一面を見せる時もある。


・・・。


全部分かり合えることなんてありえないということは理屈ではわかる。


・・・。


心の中で小さなため息。


軽く瞬きをして気持ちを切り替える。



彼は話を続けている。
「過大評価してしまったり、過小評価してしまったりしないで欲しい。"自身の評価はあてにならない"から、他人の評価を私はとても望む」


気持ちは分らなくもないので、一応返答。
「まぁ、そもそも誉めるってそういうことかもしれないけどさ。誉めるって言うより正当な評価というべきかなぁ」


なるほど、って感じで頷きながら彼は言う。
「そうか、誉めるじゃなくて評価ね。不適切な評価でも、相手の思考力をはかる指針にはなるしね」


少し相手を探ってみるかなって思って尋ねる。
「『ほめてもらっているのだから素直に喜こべばいいのでは』って、あなたの中の仮想女性人格が思わないの?」


「うん、私の中にそういうことを言う人もいるんだけどね。私って天邪鬼なんだ。それがメインの考えにはなりえない。こういうのが私の瑣末なプライドでもある」

性懲りもなくさらに続く→ http://d.hatena.ne.jp/sib1977/20071006/p10