その31 「目を閉じて心を落ち着かせて」

25歳以下は読まないでね。

夢を見た気がする。懐かしさと恥ずかしさを伴った過去の記憶が交差する不思議な夢。


何時の間にか、まどろみ眠ってしまったようだ。


ドアをノックする音。
私は壁の鏡を見て自分の表情を確認する。
笑ってみる。
目を閉じて心を落ち着かせて、「どうぞ」と言う。


顔の知らない男が入ってきて「面■が許された」と言う。
私が話したい人を誰でも一人を選んでよいという。
私は両親でもなく、××でもなく×を指名した。
そいつは、すぐに出て行った。


部屋は、また私一人だけになり、静かになる。

静かになっていた私の心はザワザワしはじめる。

何なの、この状況? そこまで想定していなかった。
会って話すことなんて・・・。
いや・・・、話したいことは山ほどあるけど。
私が×と会わなくなってから私がどれだけ変わったか。
私が×と会わなくなってから彼がどれだけ変わったか。


・・・どうしよう、どうしよう。■会時間なんて・・・限られている。
せっかく会えるのに・・・、せっかく会えるのなら・・・、私の何かを伝えたいけど・・・、私の何を伝えればいいのだろう?


×とは離れた後の×には話していない、私の軌跡を伝えたい。


でも、いったい何を話せば?
何を×は知りたいだろう?
何を私は×に伝えたいだろう?


それよりも、それよりも。
×に私のことをどういう人だと思って欲しいだろう?
言葉は繰り返しになる。
そんな無駄に時間を費やしたくない。
どうしよう。


狂喜か、当惑か、焦燥か、歓喜か、恐怖か、動揺か、不安か、困惑か、何が原因かよくわからないけど、私の身体は震えた。

想いを分類し、切り分け、ばらばらにし、圧縮というかパッケージ化し、溜息をついて、とりあえず、私は心を落ち着かせてみた。