その42 「私が私だから」

読まなくてもいいのでは?

特に年齢制限なし。

心の空白。ふと、口に出てしまった言葉。

「**の調子はどう」

・・・えっと、私ってこの事に興味があったの?ってしゃべってしまった後で確認。
出した言葉は引き戻せない。
会話って、エキサイティングだな、って負け惜しみ?
っと、誰に対して言ってるんだか。
はい、はい、心を落ち着かせて。
軽く目を瞑り開く。
手をぎゅっと握って緩める。
軽度のスイッチ。
心を入れ替えて。

「**3か月で元気だよ」
と*が応える。ダイレクトだな。

えっと、
「そう。生まれてきたら、私の代わりに十分可愛がってあげてね」


返答しづらい事を言って自己嫌悪。
なんて皮肉。できの悪いジョーク。
自分の死まで、相手の悲しみまでジョークにしてしまうのか。
それが私の現在の心境?スイッチ入れ替えに大失敗。
少し落ち込むな、と言葉で冷静さを導いていく。ふう。


*の答えは、
「あなたはあなたでしょう?生まれた子供はまた別の人。
 でもきっと、きっとね、あなたの意思を少し引き継いだ
 私と**の子だから、あなたの要素もきっとその子に入るだろうね」
って言う。


命を失っても、その意思が残るのなら・・・、ってちょっと弱気になる。
私の意志を、個人に対して残そうと思ったわけではなくて、
社会全体・世界全体に対して、示そうと思ったのだけどね。
でも、世界に薄く意思が広がるより、個人に濃く影響を与えるのも魅力的かもしれない。

どうだろうか?
わからない。
でも、わからないけど、
わからないけど、
ぐさぐさと私の心を刺してくるのは確かだ。


熱暴走しかける心を落ち着かせる。
いつものやつ。
頭の数箇所の位置を
順番に意識して、
右上後頭部の、
左上後頭部、
上後頭部、
頭頂部、
順番にチェックする。
こめかみと眉間に意識を集中して・・・。


私がしたことに対して*は問う。

「何でそこまで優しくなれるの?」

と、言いかけて、
「素朴な問いだね。当たり前か」

って*は言う。私は答える。それは、

「私が私だから」

意味を成さないかもしれないけど。
私は、こんなことを言ってしまう人なのだな、って自己確認をする。

私は私なのだな。それを覚えていて欲しい。私の意志を覚えていて欲しい。
思考を覚えていて欲しい。存在を覚えていて欲しい。。