「4回生のための研究生活ガイド〜物性実験系編〜」のコロキウムに関する言い訳

10月21日にこんな感じのタイトルで研究室内のコロキウム発表。まあ、物性実験系編というよりも、現在私が所属している研究室向けの内容かな。

  • 文献検索
  • 論文・本の読み方
  • 輪講の仕方
  • 質問の意義と仕方
  • 効率の良い実験・装置開発のために
  • 実験試料に関して
  • 実験ノートの書き方
  • 便利なソフトウェア
  • データ解析
  • 便利な道具・素材を探そう
  • プレゼンテーションの意味
  • 研究者同士のコミュニケーション
  • スケジュール管理・体調管理・在庫管理
  • その他
  • 終わりに
  • 本の紹介


パワーポイントのスライドで36ページもあった。この忙しいときに私も馬鹿なことをするものだね。


4年生の人達が日々の研究生活から、いろいろな事を学んで欲しいと思い、やりました。こういうことは、日々の研究生活から自然に身につくことだから、わざわざみんなを集めてやるべき事なのではないのかもしれません。やる直前まで、このネタでやるべきかをかなり悩みました(「物理のネタをやれ」と言われたときように、そのスライドも実は準備していました)。ただ、これらの事を4年生及び修士学生に教えるのに、今まで私自身が多大な時間をとられていると言う事実があります。だから、私の今後の時間を節約するためというエゴで敢行しました。

おそらく、今の4年生にとっては、研究室で行われていることの意味がほとんど分かっていないと思いました。今後の研究にとても役に立つことがあるのに、それは自分とは関係ないと思って関心を払わないというのは、ある意味とってももったいないことです。というか、関心を払ってくれれば(勝手に学びとろうとしてくれれば)、私自身が楽だし、その学生のためにもなるし、研究が大幅に進みます。

今回発表した内容をすぐに理解してくれるとは思わないけど、今後の人生で役に立てば良いという長期的な目的でやったと思います。研究に必要な、研究を通して身につけるべき能力の簡単な紹介で、これを身につけるのには時間がかかることだと思います。でも、何を身につけるべき事なのか?をある程度理解しているのは大事でしょう。それぞれの研究にとって、本当に大事な事は私が示したものの中にはおそらく入ってはいないでしょう。でも、私が今回示したものを知っていれば、いろいろ楽ができるし、その余剰を本当に大事な事につぎ込むことができると思います。この程度のことは、研究を進める上で知っていて当然で、その先にあるもっと面白い物を見つけるための手がかりである、というのをもう少し言うべきだったかな?

新しく書き起こしたことも少なくないですけど、私のウェブサイトにつらつら書いてきたことをまとめたものが核になっています。それらは、今までの私の研究生活に由来します。人から直接聞いたことや本に書いてあったことや自ら体験したこと。聞いている人が面白く感じたかどうかは分からないけど、準備自体は楽しかったです。その後、学生の人に感想を聞いたのですが、ソフトウェアの具体的な使い方をもう少し説明すると受けが良かったかもしれないと思いました。ExcelとかMaximaとかそれ系のソフトは、いくつかのテクニックを知っているか知らないかで全然作業効率が違いますし。

大学教員と学生の年齢差が大きいと、研究に関する考え方の違いも大きくなっていく気がします。互いに相手が理解できないというか、理解するために多大な労力を必要とするというか。私は、その橋渡し的な役目をすることで、成果がでるようになればいいと思ったし、なにより学生が研究を楽しいと思ってくれれば良いと思いました。


私以外のスタッフの人も、私が「研究に必要なこと」というのをまとめたことにより、このたたき台を使って、いろいろ学生に言うことができると思います。「この基準じゃ物足りないとか」、「これに関してはもっと特化して考えるべき」とかね。まあ、そういう目的もありました。あんまり綺麗にまとめられなかったかもしれないけど、何にも言わないよりかはいいと思うし。研究方法自体も自分で見つけ出していくべき、というのは正論だとは思うけど、便利なことは早めに知っておいた方がいいと思うし、その中で共有できるみんなにとって必要なことと言うのも多いと思うし。全ての聞いている人達の時間を1時間〜2時間程度奪うことに対する対価は話すことが出来たとは思います。


今回は研究方法というのをメインに話したのだけど、物性物理の研究目的というのも話したかったことの一つ。どこまでやれば一つの研究として認められるのか?言い換えれば論文になるのか?について話したかった。でも、これは自分の中できちんと4年生に説明できるほどは煮詰まっていない感じだったのではしょりました。今回、裏で準備していたもう一つの発表のネタは、量子スピン系の実験データを理解するための最低限知っておくべき事、という感じのネタでした。まあ、いずれ機会があれば、というか要望があれば話すこともあるかもしれないです。


【参考】「研究ガイド的な何か」
http://d.hatena.ne.jp/sib1977/20100413/p1