図解入門よくわかる最新分析化学の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)
- 作者: 津村ゆかり
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2009/04/09
- メディア: 単行本
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- 分析手法が分類されて載っていて勉強になった。研究をする上でいくつかの分析方法(ICP発光分光分析とか)を依頼したことがあり、それらの方法はちょっとだけ調べたことがある。でも、そういう分類がいろいろな分析手法の中でどのような位置付けになっているのかを認識していなかった。位置づけについてや、メリットデメリットなどが書かれていたので勉強になった。
- イラストや図表が豊富なところが良い。
- 紙の質が丈夫な感じ。実験室で使うことを考慮しているのかな?
- 分析法の英語の略称(X線光電子分光法であればXPS)が書いてあるけど、略称だけではなく、英語の正式名称も載せて欲しかったかな、強いて言えば。まあ自分で調べればいいんだけど。(【追記】最後の方にまとめて書いてありました。)
以下、面白かったところをピックアップ。
p.16
分析値と分析過程はワンセットです。分析過程が分析値の質を決めます。
これは、大事な事かも。プロセスが大事。
p.44
ガラス器具を割ったときにベテラン度がわかる?
人の安全、分析試料に関することこと、そして、実験室の原状回復。
・・・試料を作っていて、いろいろやらかしたことがあります。
p.68
超臨界液体抽出は、コーヒー豆の脱カフェインにも使われるという記述がある。こういう身近な話が載っているのは良いですね。
p.78
濾過と透析の違いは、高校化学でならったような気がする。懐かしいな。マイクロ流体チップというのは、何かの科学雑誌で載っていた気がする。これも面白い。
p.94
粉ミルクにメラミンが混入された事件に関して。何故、メラミン?
混入された、理由は原料の牛乳の品質をごまかすためでした。牛乳のタンパク量はケルダール法によって検査されており、これは窒素の総量をはかる分析法です。そのため、窒素原子を6個含むメラミンを加えると、水で薄めた牛乳でも検査に合格したのです。総量分析の問点を突かれた事件だったと言えるでしょう。
日常のニュースをきちんと理解するためには、科学の知識が必要である、という例ですね。分析が出す結果の一面だけを見てはいけない、という教訓でもあります。ある意味、人というのは検出器の1つだよな。
p.110
赤外分光に関して。
伸縮振動のエネルギーは赤外線のエネルギー付近にあるため、分子は赤外線を吸収して振動します。
ただし、左右非対称な振動でなければ赤外線に対して不活性です。
温室効果ガスとも関係ある話。
p.118のラマン分光に関して。赤外分光と相補的、という話はよく聞く。まあ、それを活かした何かを私がしているわけじゃないけど。
p.122あたりからはじまる原子分光分析に関しては、ICP発光分光分析を依頼実験してもらったことがあったので、いろいろと面白かった。
p.132
RoHSはローズって読むんですね。
p.168からのクロマトグラフィーに関しては、使うことはないだろうけど、技術的な面で面白いと思った。
p.202からはじまる電気化学分析は、高校化学とかを思い出しながら読んだ。
電気化学分析で最も身近な装置であるpH計は小さなガラスの棒ですが、実はクロマトグラフィーよりも分光光度計よりもすごいことをやっています。シンプルなガラス膜で様々な混合物の中から水素イオンだけをより分けて、しかも定量までしているのですから
うーむ、言われてみれば。よく考えてみると、電極って不思議だな。
p.226の誤差に関する記述が書いてある。図が分かりやすい。
p.246あたりからのラボの常識に関することが面白かった。もう少し詳しい内容が書いてあるものを探してみようかな。