- 作者: 大鐘良一,小原健右
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/06/17
- メディア: 新書
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http://d.hatena.ne.jp/sib1977/20100709/p1の続き。
第4章はNASA(the National Aeronautics and Space Administration)が舞台。
p.187
POGO。無重力状態シミュレーターらしい。無重量じゃないのかな。まあいいや。なんか緊張しそうな試験。
p.200
NASAによる面接。
「どうして宇宙飛行士になりたのか」ではなく、「なぜ今、ここにいるのか(= Why are you here, What brings you here?)」と問うたからである。
p.201
NASAの面接は、候補者の"人生"を知ろうとしていた。
青井はまず、高校時代からの自分について話すよう、求められたという。そして随所で面接官たちから質問が入ってきた。
青井氏が面接後に語ったこと。
「たとえば研究の話をしていたら、研究の内容だけじゃなくて、その研究を行うスタイル、そして研究で直面した困難、それをどう解決したのかについて、掘り下げられました」
「仕事にしても、プライベートにしても、どのような人間関係を築いてきたのか。どういう人間関係が良い関係だったの。逆に、悪い人間関係とはどのようなものだったか。その悪い人間関係は、どう改善すれば良かったのか、これらについて、自分の体験を答えるように求められました」
面白いな。どう言う人を取りたいか・・・か。
そして、「なぜその趣味をはじめたのか?そこから何を得たのか」という趣旨の質問が多かったらしい。
面接の技術という意味で、これは面白いです。
p.203
面接を主導したリンゼー氏が次のように語ります。
「我々は、技術的な経験もさることながら、チームとして活躍できる能力、そして誰とでも仲良くなれる資質、また、必要な時は指導力を発揮し、場合によっては誰かに従う能力のある人を捜しています。その力がある人物なのかを見極めるためには、個々の候補者の"本質"を理解しなければなりません。誰にも人生の物語がある。その物語を聞くことで、候補者が成長してきた背景を理解し、また、どのような選択をしてきたのかを質問することで、その人の"本質"を理解することができます」
ここらへんが最初にでてきた人間力という言葉に関わるのかな。
p.203から、宇宙飛行士という職業のいろいろな側面が書かれています。
- 候補者としても採用されても宇宙に必ずいけるわけじゃない。別の道を選ぶ人もいる。
- 技量をあげるための訓練、健康管理が続く。
- キャリアを捨てること。
- アメリカへの移住。
- 家族と過ごす時間が減る。
- 日常生活のあらゆる行動への制限。家族に対しても。
- メディア訓練なるものがある。宇宙飛行士は最大の広告塔。
- 死ぬ確率が高い。
p.207
候補者がリラックスして話ができる環境をつくり、若いころからの"生き様"を詳しく聞くことで、果たしてその人間が信用に値するのか、また本当に心の底から宇宙飛行士になりたいと思っているのか、そしてもし宇宙飛行士になったとき、現実に決して幻滅することなく任務をこなすことができるのかを、見極めようとしているのである。
p.208
その意味で興味深いのはリンゼー氏が、「候補者たちには、NASAが自分と家族の人生をかけるべき場所かどうかを、試験を通して逆に見極めてほしい」と語っている点だ。
「私たちが候補者を面接するのと同時に、候補者が私たちを面接して、宇宙飛行士の仕事は何なのか、リスクは何か、どんな見返りがあるのか、そして宇宙飛行士としての人生とはどのようなものなのか、それらを理解したうえで、それでもやりたい仕事なのかを考えてもらうことが重要なのです」
面白いですね。正論であると思いますけど。自分の現在の職業にあてはめて考えてしまいました。
p.210から安竹氏の話が数ページ続きます。英語力の話、ノートの話。そして特に、生い立ちについて。これってまさにNASAが知りたかったことが自然に準備されていたって事でしょうね。p.216から始まる面接。この面接は、他の人と感じがまったく違ったようで、詳細に書いてあります。
というかですね、安竹氏への言及ってこの本の中では他の候補者に比べて多くないですか? 全体の構成から考えても。ちょっと偏ってません? これは、若い人への応援という意味合いもあるかもしれない。
でも、感じたのは、この本の著者達が、10人の候補者の中で一番話しやすかった人だったからなのではないでしょうか。NASAでの面接もうまく言ったのは、彼の親しみやすさみたいなものがあったからなのではないかと・・・想定できます。
本で伝えたい主張にたいして、それを一番体現してくれたのが彼だったからではないのかな?
なんてたって、「若者の成長物語」というのはいつの世も人を惹きつける大きな要素だと思うのですよ。
挑戦とか挫折とか成長とか。
まあ、面接に関しては本文を読むのをお奨めしますが、著者はこのようにまとめています。
p.219
しかし、この面接での安竹の姿勢は、どんなに厳しいシチュエーションで言葉のハンデがあっても、自らが日々積み重ねてきた努力を信じて、自信と誠意を持って伝えれば、相手の心を動かし、自らのペースに引きこむ回答をすることが可能だということを最も分かりやすく示してくれた。
やっぱり。
p.220
なぜなら面接というものは、つまるところ「この人間と一緒に働きたいかどうか」を見ているものだからである。
そうですね。そういうものだと思います。
実際NASAは、安竹に大きなポテンシャルを感じていた。「まだ荒削りだが、今後大きく伸びる可能性を秘めている」。そう評価していたという。
やっぱりベタ褒め。
p.221の前半部。再びノートについて。そして「君はなぜ、ここにいるのか」という質問。私は、この本で一番良いところはここだと思いますよ。だから引用しない。
えっとですね。何というかですね。「努力しても報われない」って思いがちな事が世の中にはごまんとある分けですよ。そして、インスタント主義というかお手軽主義というかがまかり通っている。「楽して得を取るのがいいに決まってるでしょ」みたいなの。でも、きっと、楽をして取れる得なんて、たいしたことじゃないんだ。
・・・と書きすぎになりそうなので、自重。
p.221の後半からパーティーの話に移ります。これも当然面接の一部。
p.224から、家族にとっての"宇宙飛行士"というのが出てきます。なかなか重い。
p.228に大作氏の試験の感想
でも、日本で試験を受けていた頃は、精一杯頑張って運良く合格すれば宇宙飛行士になれるんだなと、どこか憧れの延長のような気持ちで進んできていたと思うんです。それがNASAに来て、宇宙飛行士という職業を、これから自分が選ぶ仕事として良いところも、悪いところも、大変なところもすべて、自らの身に引きつけて考えられるようになりました。
挑戦してみて、初めてわかることって言うのがあるんだな。・・・きっと。
第4章の感想はこれで終わり。
第5章「宇宙飛行士はこうして選ばれた」へ。
合格発表まで一ヶ月程度の間があるようだ。
審査をする方も真剣。でも、なんというか、思うんだけど、ここまで選んでしまえば、あとは誰でも良いような気がするよ。誰がなってもおかしくない感じ。
p.234から、合格発表へ。
p.238の向井千秋氏による宇宙飛行士に必要な資質についての言及
勉強も運動も精神・心理もすべてバランスよく合格点を取らなければならないんです。
これは難易度が高いよ。
p.239の絵のエピソードはなかなか面白い。
p.249
パイロットが宇宙飛行士になる場合が多いのかな。将来のコマンダーになる人材か。
第5章終わり。
・・・いやあ。この人達が宇宙に行くことになったら、絶対注目しちゃうよね。何年先の事になるかわかんないけど。それこそ10年先になるかもしれないことだけど。
そして、p.254からの「おわりに」
NHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた〜密着・最終選抜試験〜」
ですか。ちょっと見たくなりました。
さて、人間力って何だったのでしょうね。
この本での主張はともかく、私が他人を評価するとしたら何を評価すると思います?
何を大事だと思うか、つまり価値観。何をすることができるか、つまり能力。
でもですね。「"他者"や、"自分自身の目的や衝動"に対する誠実さ」みたいなものを過剰に評価する傾向があるかな?って自分では思います。
取りあえず感想を書きました。インプレッションの羅列、という方が近いかもしれないけど。
また、時を改めて何か書くこともあるかもしれません。
結局、私の友人の名前は明かしていませんが、年齢とか出身大学とかでだいたいわかりますよね。まあ、せっかくだから一つだけエピソードを。
昔、大学の学部生の頃。研究室とかに所属する前かな。私と物理学科の友達と一緒に、その友人の部屋に1度か2度程度遊びに行ったことがあったと思います(もっとあったかな?)。
彼の部屋の壁に、スペースシャトルの写真か絵が飾ってありました。今でもそのことを覚えています。
私は、友達づきあいが超ド下手な困った人間ではあります。そんな人が誰かを評価しても信頼性にかけますよね。でも、私が知っている人の中で、ベスト5番とかベスト3番くらいに入るくらい良い人ですよ。ちゃんと評価されていてうれしい。ちょっと、いたずら好きな性格の人かもしれないですけど。