- 作者: 清水明
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 単行本
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p.204の熱機関の効率に関する話の注。
筆者は,様々な原理的限界を求めるのが好きだが,とかく原理的限界を示されると,「そこまでしかいかないのか」とがっかりする人が多くて困る.そうではなくて,「画期的なことをするには,原理的限界を示す時に設定した状況の外に出ればよい」という重要なヒントのつもりなのだが・・・。
面白い。
これを読んでいろいろ考えた事を以下に羅列。
- 物理の法則とかは、等式で示される物と、不等式で示される物があるな、って思った。
- 熱力学第一法則は、要するにエネルギー保存則だから、等式。第二法則はエントロピー増大ということで不等式。
- 第三法則は・・・あれ?あと第ゼロ法則は?
- T→0でS→0という第三法則は、極限で示される法則だ。
平衡状態の定義に関わる第ゼロ法則は、定義や原理や仮定に近い物かな?
- 理系の大学一年生では、線型代数と微分積分学(解析学)の入門的な講義を受けると思う。微分積分学で、最初の方にεδ論法というのが出てくるわけだけど、そういうのが大事だなぁって思えるようになったのはたぶん私が博士課程のころだと思う(←遅すぎ!)。なんというか、この種のprocessと言うか、procedureというかは科学というか物理学においてとっても重要なんだと言うことが分かってきた。
- 力学において、慣性の法則(外力がなければ、止まっている物はずっと止まる、動いている物は同じ速さでずっと動く)、力と質量及び加速度の関係(F=ma)、作用反作用の法則などをまず習う。
- 慣性の法則というのは、ある意味F=maからの自然の帰着だと思える。F=0だからdv/dt=0で、v=一定を意味するしね。第一法則無駄じゃない?って天の邪鬼な人は思うかもしれない。で、ある人から聞いたのだけど、「慣性の法則とは『慣性系の定義』、すなわち、『そのような空間のことを考えるからね』という舞台設定みたいな意味合いなんだよ」とのこと。慣性系以外にもいろいろ考えることができるわけだから、そういう解釈も有りだと思う。
- では、電磁気学では?量子力学では?統計力学では?などの話が、物理屋さんが集まった時の飲み会などで話されるわけである。
- ・・・だよね?同業者のみなさん。
- 良い研究とはどういう研究なんだろう?って日頃から考える。どれだけの内容があれば、論文として出す価値があるんだろう?っていつも考えている。
- 私みたいな低レベル研究者の関心事は、どれだけの内容があれば、論文の査読に耐えられるか?かもしれないが。
- どういう研究が良い研究か?どういう物理が良いのか?そういうのって、研究している限り逃れられない問題だと思う。